
子どもがひとりで登下校するようになると、親の目が届かない時間は一気に増えていきます。学校までの道、公園、友達の家、習い事の帰り道、ほんの数分の移動でも、子どもにとっては大人が思う以上に判断の連続です。
「知らない人について行ってはいけない」と教えていても、実際の場面では、相手がやさしく話しかけてきたり、困っているように見えたり、子どもの好きなものを話題にしたりすることがあります。
だからこそ、家庭で繰り返し確認したいのが「いか・の・お・す・し」です。
いかのおすしについて詳しく知りたい方へ
子どもの防犯標語「いかのおすし」は、警視庁の公式ページでも紹介されています。 親子で確認しながら、防犯意識を高めていきましょう。
警視庁公式サイトはこちらこれは学校で習う標語で終わらせるものではなく、お家でできる防犯教育として、親子の会話、通学路の確認、スマホやSNSの使い方まで広げて考えるべき大切な合言葉です。
GUARD ON│暮らしを守る防犯ガイドでは、子どもを怖がらせるのではなく、危険を見抜き、迷ったときに安全な行動を選べる力を育てるために、家庭で今日からできる「いかのおすし」の実践方法を解説します。
「いかのおすし運動」とは?
「いかのおすし」は、子どもが不審者や犯罪被害から身を守るための防犯標語です。
2004年に警視庁と東京都教育庁が考案し、その後全国の警察や自治体、小学校、防犯教室で広く活用されています。
子どもでも覚えやすいように、「いか・の・お・す・し」の5文字に防犯行動がまとめられています。
📄 ご家庭で印刷できる「いかのおすし」ポスター
親子で一緒に確認できる家庭用ポスターをご用意しました。
冷蔵庫やリビング、子ども部屋などに貼ってご活用ください。
▲画像をクリックすると印刷ページが開きます
いか
知らない人について「いかない」
「お母さんが事故にあったよ」
「子犬を探しているから手伝って」
などと言われても、絶対について行かないことを教えます。
の
知らない人の車に「のらない」
「家まで送ってあげる」
「お菓子を買ってあげる」
などと言われても車には乗らないことを教えます。
お
「お」おごえでさけぶ
危険を感じたら、
「助けて!」
「いやだ!」
と大きな声で周囲に助けを求めることです。
す
「す」ぐに逃げる
不審な人に近づかれたら、その場からすぐ逃げることです。
近くの家やお店、
子ども110番の家へ逃げ込むことも大切です。
し
大人に「し」らせる
怖い思いをしたら、
親
先生
警察
地域の見守りの人
などに必ず知らせます。

「いかのおすし」は、子どもが危険な場面で動けるようにする家庭防犯の基本
「いかのおすし」は、子どもを不審者や連れ去り被害から守るための防犯標語です。
という行動を短い言葉で覚えられるようにしたものです。
多くの家庭では、子どもが学校や防犯教室で一度は聞いたことがある言葉かもしれません。
しかし、本当に大切なのは、言葉を覚えているかどうかではありません。危ない場面に出会ったとき、子どもが迷わず体を動かせるかどうかです。
たとえば、下校中に知らない大人から「お母さんがけがをしたから病院へ連れて行くよ」と言われたとします。
大人なら不自然だと感じても、子どもは一瞬で判断できないことがあります。相手が怒鳴っているわけでもなく、やさしい声で話しかけてきた場合はなおさらです。「親切そうだから大丈夫かも」「本当にお母さんが困っているのかも」と考えてしまう子もいます。
ここで必要なのは、怖い人を見分ける力ではなく、親から聞いていない誘いには応じないという明確なルールです。
家庭での防犯教育では、「知らない人について行かないでね」と言うだけでは足りません。
子どもは「知らない人」の範囲をうまく理解できないことがあります。近所で何度か見た人、店で話しかけてきた人、友達の名前を知っている人、学校名を知っている人を、完全な他人ではないと感じる場合があります。だからこそ、「お父さんやお母さんが事前に言っていない人とは、どこにも行かない」「車には乗らない」「困ったら近くのお店や学校、子ども110番の家に逃げる」と、生活場面に合わせて言い換えることが大切です。
また、子どもは大人に強く言われると断りにくいものです。
家庭や学校で「大人の話を聞きなさい」と教えられている子ほど、知らない大人に声をかけられたときに立ち止まってしまうことがあります。防犯教育では、礼儀と安全を分けて教える必要があります。普段はあいさつを大切にしてよいけれど、知らない人から誘われたときは、返事をしなくてもいい。走って逃げてもいい。大きな声を出してもいい。これは失礼ではなく、自分を守る行動なのだと伝えることが重要です。
お家でできる「いかのおすし」の第一歩は、親子で短いシミュレーションをすることです。
「犬を探しているから一緒に来てと言われたら?」「動画を撮りたいから手伝ってと言われたら?」「車で送ってあげると言われたら?」と、食事のあとや通学前の数分で確認します。
大げさな訓練にする必要はありません。
むしろ、暮らしの中で自然に何度も話すほうが子どもの記憶に残ります。防犯は一度教えて終わりではなく、子どもの成長、行動範囲、スマホ利用の変化に合わせて更新していく家庭の習慣です。
最後に忘れてはいけないのは、子どもが怖い思いをしたときに、必ず大人へ話せる空気を家庭に作ることです。
「どうして逃げなかったの」「なぜ返事をしたの」と責められると、次から言えなくなる子もいます。
大切なのは、まず無事に話してくれたことを受け止めることです。
そのうえで、時間、場所、相手の特徴、声をかけられた内容を一緒に整理し、学校や警察、自治体の相談窓口へつなげます。
「いかのおすし」は子どもだけの努力ではありません。
親が聞く、確認する、地域と共有するところまで含めて、家庭防犯として初めて機能します。
子どもはなぜ危険な誘いに応じてしまうのか|親が知っておきたい子どもの心理と防犯の落とし穴

「うちの子は知らない人について行かないと思います。」
保護者の方からよく聞く言葉です。しかし、防犯の現場では、この考え方が思わぬ油断につながることがあります。子どもは大人よりも経験が少なく、人を疑うことに慣れていません。まして相手が笑顔で話しかけてきたり、知っている学校名や友達の名前を口にしたりすると、「知っている人かもしれない」と感じてしまうことがあります。
大人であれば違和感を覚える場面でも、子どもは善意として受け取ることがあります。「迷子になったから手伝ってほしい」「荷物を運ぶのを手伝ってほしい」と言われると、親切にしたい気持ちが先に立つことがあります。学校でも家庭でも、人に優しくすることを教えられているためです。その優しさ自体は素晴らしいことですが、防犯という観点では注意が必要になります。
さらに子どもには「正常性バイアス」と呼ばれる心理が働きます。これは危険な状況に直面しても、「まさか自分は大丈夫だろう」と考えてしまう心の働きです。大人にも見られる心理ですが、経験の少ない子どもは特に強く影響を受けます。不安を感じても、「考えすぎかもしれない」「悪い人じゃないかもしれない」と自分を納得させてしまうことがあります。
たとえば、通学路で何度か見かけたことがある人物から話しかけられた場合です。まったく知らない人ではないため警戒心が下がります。相手が近所の人に見えたり、地域のことを知っていたりすると、子どもは安心してしまうことがあります。しかし、防犯の世界では「見たことがある」と「信頼できる」はまったく別の話です。
また、子どもは断ることが苦手です。特に真面目な子どもほど、大人に強く頼まれると断れない傾向があります。「ちょっとだけだから」「すぐ終わるから」と言われると、嫌だと思っても従ってしまうことがあります。そのため家庭では、「逃げてもいい」「無視してもいい」「走って離れてもいい」ということを繰り返し伝える必要があります。
ここで大切なのは、怖い人の特徴を教えることではありません。実際には怖そうな人だけが危険とは限らないからです。派手な服装でもなく、怒鳴るわけでもなく、ごく普通の大人に見える場合もあります。だからこそ、「知らない人かどうか」「親から聞いている相手かどうか」を判断基準にすることが重要です。
家庭で防犯教育を行う際は、正解を覚えさせるよりも考える練習をさせることが効果的です。「もし知らない人に道を聞かれたらどうする?」「車に乗せてあげると言われたら?」「スマホで写真を撮らせてと言われたら?」と問いかけます。子どもが自分で答えを考えることで、防犯意識は少しずつ身についていきます。
共働き家庭では、帰宅後の短い時間しか会話ができないこともあります。しかし、防犯教育は長時間である必要はありません。夕食の時間、車での移動中、寝る前の数分でも十分です。大切なのは一度だけ話すことではなく、何度も繰り返すことです。
防犯対策は防犯ブザーやGPSだけで完成するものではありません。子ども自身が「なんとなく変だな」と感じたときに、その違和感を信じて行動できることが重要です。その感覚を育てるためにも、家庭での会話は欠かせません。親子で話す時間こそが、もっとも身近で効果的な防犯対策なのです。
お家でできる「いかのおすし」実践トレーニング|今日から始める家庭防犯習慣

防犯教育というと、難しい訓練や特別な準備が必要だと思われがちです。しかし実際には、お家でできることが数多くあります。むしろ日常生活の中で繰り返し行うことのほうが、子どもの記憶には残りやすくなります。
最初におすすめしたいのが「声かけシミュレーション」です。親が不審者役になり、「お母さんに頼まれて迎えに来たよ」「犬を探しているから手伝って」など、子どもが遭遇しそうな場面を再現します。そのとき重要なのは、正解を言わせることではありません。どう感じたのか、なぜそう答えたのかを一緒に確認することです。
次に行いたいのが通学路の安全確認です。親子で実際に歩きながら、人通りが少ない場所、見通しが悪い場所、助けを求められる施設を確認します。地図を見るだけでは分からないことが多くあります。昼と夕方では景色も変わるため、できれば帰宅時間帯にも歩いてみることをおすすめします。
また、防犯ブザーの使い方を確認している家庭は意外と多くありません。ランドセルに付いていても、一度も鳴らしたことがない子どももいます。いざというときに迷わず使えるよう、定期的に動作確認を行い、どのような場面で使うのかを親子で話し合っておくことが大切です。
さらに、「子ども110番の家」を確認することも重要です。通学路や生活圏にある場所を親子で実際に見ておくと、万が一のときに逃げ込みやすくなります。知らない場所へ突然入るのは大人でも勇気が必要です。事前に確認しておくことで心理的なハードルを下げることができます。
近年はスマートフォンやキッズ携帯を持つ子どもも増えています。しかし、連絡手段があるから安全というわけではありません。危険を感じたらまず安全な場所へ移動し、その後で保護者へ連絡するという順番を教えておく必要があります。
家庭防犯は特別なイベントではなく習慣です。月に一度でもよいので、「いかのおすしの日」を決めて親子で確認してみてください。その積み重ねが、いざというときの冷静な行動につながります。
SNS時代に必要な新しい「いかのおすし」|画面の向こうの危険から子どもを守るために

「いかのおすし」はもともと、子どもが外出中に不審者から身を守るために広まった防犯標語です。しかし現在の子どもたちは、公園や通学路だけでなく、スマートフォンやオンラインゲームの中でも人とつながる時代を生きています。だからこそ、現代の家庭防犯では「リアルのいかのおすし」と同じくらい、「ネットのいかのおすし」を考える必要があります。
保護者の中には、「家の中でスマホを使っているだけだから安心」と考える方もいます。しかし実際には、画面の向こう側にいる相手が誰なのか、子ども自身が正しく判断できないことがあります。相手は同年代の子どもだと思っていても、実際にはまったく違う場合もあります。防犯上の問題は、相手の正体が分からないことそのものにあります。
特に注意したいのが、オンラインゲームやSNSでのやり取りです。共通の趣味やゲームを通じて会話が続くと、子どもは相手を友達のように感じることがあります。何日も会話しているうちに警戒心が薄れ、個人情報を話してしまうケースもあります。
ここで家庭で教えたいのが、「ネットのいかのおすし」です。知らない相手と個人的な連絡先を交換しない。学校名や住所を教えない。写真を安易に送らない。会おうと言われても応じない。違和感があれば保護者へ相談する。この基本を繰り返し確認することが大切です。
また、子どもは「秘密にしてね」と言われると、約束を守ろうとしてしまうことがあります。しかし防犯上は、秘密にしてほしいと言われた時点で警戒する必要があります。家庭では、「困ったことや不安なことは怒られないから話してほしい」と日頃から伝えておくことが重要です。
スマートフォンのフィルタリングや利用制限も有効ですが、それだけでは十分ではありません。設定で防げる部分には限界があります。最終的に子どもを守るのは、機械ではなく判断力です。その判断力は家庭での会話によって育まれます。
SNSやオンラインゲームそのものが危険なのではありません。正しく使えば便利で楽しいものです。だからこそ、「禁止する」のではなく、「安全に使う方法を教える」という姿勢が求められます。
今の時代の防犯教育は、通学路だけを見ていては不十分です。玄関の外だけでなく、スマートフォンの中にも防犯の視点を持つことが必要です。親子で定期的に利用状況を確認しながら、現代に合った「いかのおすし」を家庭の中に根付かせていきましょう。
家族全員で取り組む防犯習慣|「いかのおすし」を一日で終わらせないために
防犯教育は、一度話したら終わりではありません。子どもは成長します。行動範囲も広がります。小学一年生と六年生では生活環境が大きく異なりますし、中学生になればスマートフォンの利用も増えていきます。そのため、「いかのおすし」も定期的に見直すことが大切です。
家庭でおすすめしたいのは、防犯を特別な話題にしないことです。大事件が起きたときだけ話すのではなく、日常会話の中に自然に取り入れます。学校での出来事を聞く流れで、「帰り道は大丈夫だった?」「変わったことはなかった?」と確認するだけでも十分です。
また、防犯は子どもだけの問題ではありません。共働き家庭では祖父母が送り迎えを担当することもあります。親戚が迎えに行くこともあるでしょう。そのような場合は、家族全員でルールを共有しておく必要があります。
たとえば、「事前に伝えていない迎えにはついて行かない」「予定変更があった場合は必ず家族で連絡する」といったルールです。子どもにだけ教えるのではなく、大人側も同じ認識を持つことが重要です。
さらに、防犯ブザーやGPS端末を持たせている場合も、定期的な確認が必要です。電池切れになっていないか。正しく使える状態か。位置情報は確認できるか。いざというときに使えなければ意味がありません。
防犯意識を高めるうえで大切なのは、恐怖を植え付けないことです。世の中には危険がある一方で、地域で子どもを見守っている方々もたくさんいます。子どもが過度に人を怖がるようになると、助けを求めるべき場面でも動けなくなってしまいます。
家庭防犯の目的は、誰も信じない子どもを育てることではありません。危険な状況を見極め、困ったときに助けを求められる子どもを育てることです。
本記事は防犯意識向上と注意喚起を目的とした情報提供であり、犯罪行為を助長するものではありません。もし不安な出来事や不審な声かけがあった場合は、一人で判断せず、学校、警察、自治体の相談窓口へ相談してください。怪しいと思ったら立ち止まる。迷ったら家族へ相談する。その小さな行動が、大きな被害を防ぐ第一歩になります。
まとめ
「いかのおすし」は子ども向けの合言葉として広く知られていますが、本当に大切なのは言葉を覚えることではなく、危険な場面で実際に行動できることです。
知らない人について行かない。知らない人の車に乗らない。大きな声を出す。すぐ逃げる。信頼できる大人へ知らせる。この基本は今も変わりません。
一方で、現代の子どもたちはSNSやオンラインゲームを通じて新たな危険とも向き合っています。だからこそ、お家でできる防犯教育として、通学路だけでなくスマートフォンの使い方も含めて親子で話し合うことが重要です。
防犯は一度教えたら終わりではありません。家庭の習慣として繰り返し確認し続けることが、子どもの命を守る大きな力になります。
家族で「いかのおすし」を確認する時間を、ぜひ今日から作ってみてください。

参考サイト
1. 警視庁
2. 警察庁
3. 政府広報オンライン
4. こども家庭庁
5. 国民生活センター
今日の家庭の会話から始まります。
「こんな防犯情報が知りたい」 「子どもの安全について詳しく知りたい」 「防犯アプリや防犯グッズを比較してほしい」 そんなご意見やご要望がありましたら、ぜひお気軽にお知らせください。 皆さまの声が、より良い防犯情報づくりにつながります。
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