
大きな地震が発生すると、多くの人は家族の安否確認や避難準備、ライフラインの確保に意識が向きます。それは当然のことです。しかし過去の災害を振り返ると、被災地やその周辺では災害そのものとは別の危険が発生していることが分かっています。それが、災害に便乗した犯罪や詐欺です。
地震直後は誰もが不安や焦りを抱えています。普段なら冷静に判断できることでも、「早く対応しなければ」「家族を守らなければ」という気持ちが強くなり、判断力が低下しやすくなります。その心理を悪用する人が残念ながら存在します。
空き巣、義援金詐欺、悪質商法、SNS上のデマ情報、不審者による声掛けなど、地震発生後に注意すべきリスクは決して少なくありません。特に高齢者世帯や一人暮らし、共働き家庭では、被害に気付くのが遅れるケースもあります。
本記事では、地震発生後に実際に起こりやすい犯罪やトラブルを防犯の視点から解説します。
大切なのは過度に恐れることではありません。
正しい知識を持ち、家族で確認し、冷静に行動することです。今日からできる防犯対策を一緒に確認していきましょう。
なぜ地震のあとに犯罪が増えるのか?災害時の人間心理と正常性バイアス

大きな地震が発生すると、人は想像以上に冷静な判断ができなくなります。これは決して特別なことではありません。誰にでも起こる自然な心理反応です。普段なら怪しいと感じる話でも、「今は非常時だから」「早く対応しなければならないから」と考えてしまい、普段より警戒心が下がることがあります。
特に注意したいのが正常性バイアスです。正常性バイアスとは、自分に都合の悪い情報を無意識に軽く考えてしまう心理現象です。「うちは大丈夫だろう」「まさか自分が被害に遭うわけがない」という考え方は、多くの防犯被害の入り口になっています。
実際の災害では、自宅の片付けや家族との連絡、仕事の調整などに追われます。頭の中がいっぱいになり、防犯への意識が後回しになる家庭も少なくありません。その隙を狙う人がいることを忘れてはいけません。
また、災害直後は見知らぬ人同士が助け合う場面も増えます。本来は素晴らしいことですが、その善意を悪用するケースもあります。親切そうな人が近づいてきても、すぐに個人情報を伝えたり、自宅へ招き入れたりすることは避けるべきです。
特に高齢者世帯では、「困っているから助けてあげたい」という気持ちから警戒心が下がる場合があります。一人暮らしの高齢者は地域全体で見守る意識が重要になります。
共働き家庭も注意が必要です。昼間に家を空ける時間が長くなり、避難や仕事対応で生活リズムが乱れると、防犯確認が疎かになりやすくなります。施錠確認や近所との連携を日頃から意識しておくことが大切です。
地震は自然災害ですが、その後に起きる犯罪被害は人が防げる災害です。まずは「自分も対象になる可能性がある」と認識することが、防犯対策の第一歩になります。
被災地で実際に起こりやすい空き巣・侵入盗への備え

地震発生後に警戒したい犯罪の一つが空き巣や侵入盗です。災害が起きると、多くの家庭で避難や片付けが優先されます。家族全員が避難所へ移動したり、親族宅へ身を寄せたりすることもあるでしょう。その結果、無人になった住宅が増え、防犯面でのリスクが高まります。
普段は人通りの多い住宅街でも、地震直後は状況が大きく変わります。停電が発生したり、地域全体が混乱したりすると、周囲の目が行き届きにくくなる場合があります。こうした環境は、残念ながら犯罪を考える人間にとって都合の良い状況になりかねません。
特に注意したいのは、「少しの時間だから大丈夫だろう」という油断です。避難所へ行く時間が短くても、買い出しや家族の迎えなどで家を空けることがあります。その際に施錠を忘れてしまうケースは決して珍しくありません。地震の揺れによって玄関や窓の鍵が正常に閉まらなくなっていることもあるため、一度しっかり確認する習慣が重要です。
また、被災後は割れた窓ガラスや破損した扉がそのままになっている住宅も見受けられます。修理がすぐにできない場合でも、ブルーシートや合板などで応急的に目隠しを行い、外から家の中が見えない状態を作ることが大切です。室内の様子が見えると、「誰もいない家」と判断されやすくなります。
高齢者世帯では、防犯確認を一人で行うのが難しいこともあります。そのような場合は家族や近隣住民と連絡を取り合い、互いに見守る仕組みを作ると安心です。共働き家庭であれば、家族LINEや連絡アプリを活用し、「施錠確認をしたか」「誰が最後に家を出たか」を共有するだけでも防犯意識が高まります。
防犯カメラやセンサーライトが設置されている場合は、停電後に正常に動作しているか確認しましょう。意外と見落とされるポイントですが、録画機器の再起動が必要になることもあります。せっかくの設備も動いていなければ意味がありません。
地震後の防犯対策で大切なのは、特別なことをするのではなく、「いつも以上に基本を徹底すること」です。玄関の施錠、窓の確認、近所との声掛け、防犯設備の点検。この積み重ねが家族の暮らしを守る力になります。災害時だからこそ、防災と防犯を同時に考える意識を持つことが大切です。
義援金詐欺・悪質商法・なりすまし被害に注意

地震が発生すると、多くの人が「何か力になりたい」と考えます。被災地を支援したいという気持ちはとても尊いものです。しかし、その善意や不安につけ込む詐欺が後を絶ちません。災害発生後は、義援金詐欺や悪質商法、行政機関を装ったなりすまし被害が増える傾向があります。
特に気を付けたいのは、「今すぐ対応してください」「期限が迫っています」といった焦りを誘う言葉です。人は不安を感じると冷静な判断が難しくなります。地震後は余震への不安、生活再建への心配、家族の安全確認などで精神的な負担が大きくなっているため、普段以上に注意が必要です。
例えば、被災地支援を名目とした寄付の呼びかけが突然届くことがあります。本当に信頼できる団体もありますが、中には善意を利用して金銭を集めようとするケースもあります。寄付を行う場合は、自治体や公的機関、実績のある支援団体の公式窓口を利用することが大切です。SNSやメールだけの情報で判断するのは避けた方が安全です。
また、災害後には住宅修理や設備点検に関するトラブルも発生します。「無料で点検します」「今なら特別価格です」といった言葉で契約を急がせる事業者には注意が必要です。本当に修理が必要なのか、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。焦って契約してしまうと、後から高額な費用を請求されるケースもあります。
高齢者世帯では、電話によるなりすましにも警戒しなければなりません。行政職員や支援団体を名乗る人物から連絡があっても、その場で個人情報や口座情報を伝えないことが基本です。本当に必要な手続きであれば、公式窓口に自分から問い合わせて確認できます。
最近ではSNSやメッセージアプリを利用した被害も増えています。支援情報のように見える投稿の中に、不審なリンクが含まれていることがあります。クリックすると偽サイトへ誘導され、個人情報の入力を求められる場合もあります。情報を確認するときは、自治体や公的機関の公式サイトを優先しましょう。
大切なのは、「怪しいと思ったら立ち止まる」ことです。すぐに判断せず、家族や友人に相談するだけでも被害を防げる可能性があります。一人で抱え込まず、警察相談専用電話「#9110」や消費生活センターなどの相談窓口を活用することも有効です。
災害時だからこそ、助け合いの気持ちと同じくらい、冷静な確認の習慣を持つことが大切です。
SNSデマが命を危険にさらす理由と正しい情報収集方法

地震が発生した直後、多くの人がまず手に取るのはスマートフォンです。家族の安否確認、交通情報、避難情報などを確認するためにSNSを利用する方も少なくありません。しかし、その便利さの裏側には大きな危険も潜んでいます。それがSNS上に拡散されるデマ情報です。
災害時は誰もが不安を抱えています。不安が大きいほど、人は「少しでも情報が欲しい」と考えるようになります。その心理を利用するかのように、真偽不明の情報が急速に広がることがあります。しかも、悪意がなくても「役に立つかもしれない」という善意から拡散されるケースもあるため厄介です。
過去の大規模災害でも、
といった誤情報が広がり、多くの人が混乱しました。
結果として、本当に必要な情報が埋もれてしまい、避難判断が遅れるケースも発生しています。
また、防犯の視点から見てもSNSデマは深刻です。
例えば、「この地域では空き巣が多発している」という未確認情報が広がると、住民同士の不信感が高まることがあります。逆に、「この地域は安全だから大丈夫」という根拠のない情報によって警戒心が下がることもあります。どちらも適切な防犯行動を妨げる要因になります。
さらに注意したいのは、SNSでの個人情報発信です。避難先や自宅の状況を詳細に投稿することで、思わぬリスクを招く場合があります。家族の不安を共有したい気持ちは自然なものですが、住所が特定できる写真や、長期間不在であることが分かる投稿は慎重に扱う必要があります。
正しい情報を得るためには、情報源を確認する習慣が重要です。自治体、気象機関、警察、消防、公的機関などが発信する情報を優先しましょう。テレビやラジオも有効な情報源です。SNSで見た情報は、必ず公式情報と照らし合わせて確認することをおすすめします。
家庭内でもルールを決めておくと安心です。
といった約束を作るだけでも、デマ被害を防ぎやすくなります。
情報があふれる時代だからこそ、本当に大切なのは情報の量ではなく質です。
災害時に家族を守るためには、正しい情報を選び取る力が必要になります。
焦りや不安に流されず、一度立ち止まって確認する。その冷静な行動が、自分自身と大切な人を守ることにつながります。
家族を守るために今日からできる地震後の防犯チェックリスト

地震発生後の防犯対策は、特別な知識や高価な設備がなければできないものではありません。むしろ被害を防いでいる家庭の多くは、基本的な確認を丁寧に続けています。災害時ほど基本が重要になるのです。
まず確認したいのが施錠です。避難するときだけでなく、片付けや買い出しなど短時間の外出でも玄関や窓の施錠を確認しましょう。「数分だから大丈夫」という油断が思わぬ被害につながることがあります。地震による建物の歪みで鍵が正常に閉まらない場合もあるため、一度実際に確認してみることが大切です。
次に家族との連絡手段を確認しましょう。災害時は通信障害が発生する場合があります。電話だけに頼るのではなく、メッセージアプリや災害用伝言サービスなど複数の連絡手段を共有しておくと安心です。誰がどこへ避難するのか、集合場所はどこかも事前に話し合っておきたいポイントです。
高齢者のいる家庭では見守り体制の確認も重要です。離れて暮らしている場合は、地震発生後に連絡を取る順番や確認方法を決めておくと混乱を防げます。近隣住民や親族とも連携し、一人に負担が集中しない仕組みを作ることが理想です。
SNSの利用についても家族でルールを決めておきましょう。不確かな情報を拡散しないこと、避難場所や個人情報を安易に投稿しないことは基本です。子どもがいる家庭では、災害時のインターネット利用について改めて話し合う機会を設けるのも良いでしょう。
また、防犯グッズや防災用品の点検も忘れてはいけません。懐中電灯、モバイルバッテリー、防犯ブザー、ラジオなどは定期的に動作確認を行いましょう。防犯カメラやセンサーライトが設置されている場合は、停電後に正常に復旧しているかも確認しておきたいところです。
そして何より大切なのは、一人で判断しないことです。災害時は誰でも焦ります。不安な連絡や怪しい勧誘を受けた場合は、その場で決断しないようにしましょう。家族や信頼できる人に相談するだけでも被害を防げるケースは少なくありません。
地震はいつ発生するか分かりません。しかし、防犯意識は今日から高めることができます。家族で話し合い、連絡方法を確認し、施錠や情報収集の習慣を見直す。それだけでも災害後のリスクは大きく減らせます。防災と防犯は別々ではなく、どちらも大切な家族を守るための備えです。今この瞬間からできることを一つずつ始めていきましょう。

まとめ
地震が発生すると、多くの人は自然災害そのものに意識が向きます。しかし実際には、地震の後に発生する犯罪や詐欺、SNSデマによる二次被害にも注意しなければなりません。
空き巣や侵入盗は、避難や片付けで無人になった住宅を狙うことがあります。義援金詐欺や悪質商法は、人々の善意や不安につけ込みます。SNSデマは混乱を拡大させ、正しい避難行動を妨げることもあります。
大切なのは過度に恐れることではありません。施錠確認、家族との連絡体制づくり、情報源の確認、一人で判断しない姿勢。この基本を徹底するだけでも多くの被害は防げます。
怪しいと思ったら立ち止まる。困ったときは家族や公的機関へ相談する。防災と防犯の両方を意識する。その積み重ねが、災害後の暮らしを守る大きな力になります。家族の安全を守るために、今日からできることを一つずつ確認していきましょう。
参考サイト
#地震防犯
#空き巣対策
#災害時の犯罪
#特殊詐欺対策
#家庭防犯
地震や豪雨などの自然災害は、私たちの暮らしに大きな影響を与えます。しかし、本当に注意したいのは災害そのものだけではありません。
災害後には空き巣、特殊詐欺、SNSデマ、悪質商法など、人の不安や善意につけ込む犯罪が発生することがあります。
GUARD ONでは、家庭防犯、特殊詐欺対策、子ども・女性・高齢者の安全対策、防犯アプリや防犯グッズの情報など、暮らしを守るための情報を分かりやすく発信しています。
「こんな防犯情報を知りたい」「このニュースを解説してほしい」など、ご意見やご相談がありましたらお気軽にお問い合わせください。
コメント