
※PRを含みます
財布や鍵などの場所をスマートフォンで確認できる「紛失防止タグ」。
本来は紛失物を見つけるための便利な機器ですが、その機能を悪用し、本人に気付かれないよう位置情報を把握しようとする悪質な事件が発生しています。
2026年9月30日には、沖縄県宜野湾市で23歳の女性が死亡する痛ましい事件が発生し、女性が事件の10日前、「車に紛失防止タグが付けられている」と警察へ相談していたことが明らかになりました。沖縄県警は、元交際相手がタグを取り付けた可能性も含めて捜査していますが、現時点で、タグによる位置情報の取得と事件との直接的な因果関係が確定したわけではありません。
一方、紛失防止タグを使って本人の同意なく位置情報を取得する行為への対策はすでに進められており、2025年12月30日からは改正ストーカー規制法による規制も強化されています。
では、知らない紛失防止タグを車や持ち物で発見したら、どうすればよいのでしょうか。また、iPhoneやAndroidに「不明なトラッカー」「知らない持ち物」などの警告が表示されたとき、何を確認し、どこへ移動し、どの段階で警察へ相談すればよいのでしょうか。
この記事では、紛失防止タグによって位置を把握される仕組みから、知らないタグや警告に気付いた直後の行動、残しておきたい情報、自宅へ帰る前に考えること、警察へ相談する判断基準まで、被害を未然に防ぎ、自分の身を守るために知っておきたい具体的な対処方法をわかりやすく解説します。
ここからわかること
それでは、紛失防止タグがどのように位置情報の把握につながるのか、そして「知らないタグ」に気付いたとき、どう行動すれば自分の身を守れるのか、早速見ていきましょう。
紛失防止タグでなぜ居場所が分かる?
最初に理解しておきたいのは、AirTagなどの紛失防止タグと、一般にイメージされるGPS機器は同じものではないということです。
スポンサーリンク
政府広報オンラインは、紛失防止タグについて、それぞれ固有のBluetooth信号を発信し、外出先などで紛失した場合には近くを通った第三者のスマートフォンがその信号を受信し、メーカーのサーバーを通じてユーザーへ位置情報が送信されることで、落とした場所などを確認できる仕組みだと説明しています。
ここが、今回の防犯を理解するうえで最初のポイントです。
「GPSを搭載していないなら、離れたところから場所なんて分からないのではないか」と考えてしまいがちですが、紛失防止タグは周囲に存在する対応端末や探索ネットワークを利用することで、所有者がタグの近くにいなくても位置を把握できる場合があります。
本来、この仕組みは非常に便利です。
旅行先でバッグを置き忘れた、外出中に財布を落とした、鍵が見当たらないという場面では、周囲の端末を利用して持ち物を探せる仕組みが大きな助けになります。
問題になるのは、「なくした物を探す」ための仕組みを、「知らないうちに人と一緒に移動させる」ために利用した場合です。
たとえば、自分が所有していない紛失防止タグが車に取り付けられ、その車と一緒に移動し続けたとします。
そこで問題になるのは、一回だけ表示された「現在地」ではありません。
同じ場所から繰り返し移動を始め、別の場所へ一定時間滞在し、その後また元の場所へ戻るという情報が積み重なれば、そこから生活拠点や行動パターンを推測する材料が生まれる可能性があります。
「この地点が自宅です」とタグが教えるわけではありません。
それでも、夜間に長時間とどまる場所、平日に長時間滞在する場所、繰り返し訪れる場所といった情報が蓄積すれば、「ここが生活拠点ではないか」「ここが勤務先ではないか」と推測する手掛かりになり得ます。
だからこそ、知らないタグを見つけたときに考えるべきことは、「今どこにいるかを知られたのか」だけではありません。
いつからこのタグと一緒に移動していた可能性があるのか。
この視点が重要になります。
取り付けられた時期が分からないのであれば、その期間に自宅、勤務先、実家など、自分にとって重要な場所へタグと一緒に移動していた可能性も考えなければなりません。
ただし、ここでも必要以上に不安を広げないことが大切です。
タグを発見したからといって、直ちにすべての行動が誰かに監視されていたと断定することはできませんし、スマートフォンに「不明なトラッカー」の警告が出た場合でも、借りた物にタグが付いていた、タグを持った別の人と一定時間一緒に移動していたなど、犯罪とは無関係のケースもあります。
Googleも、不明なトラッキングアラートについて、借りた鍵やバックパックなどにトラッカーが入っている場合や、トラッカーを身に着けている人と一緒に移動している場合にも通知されることがあると説明しています。
したがって、「通知が出た=ストーカー」と即断することも、「たぶん誤検知だろう」と無視することも、どちらも適切ではありません。
必要なのは、通知されたトラッカーが自分と継続して移動しているのか、自分の所有物ではないのか、合理的な理由が思い当たるのか、そして現在ストーカーや交際関係などに関連する不安が存在しているのかを一つずつ切り分けることです。
この判断を助けるため、iPhoneとAndroidには迷惑な追跡を検出する仕組みが用意されています。
Appleによると、iOS 14.5以降またはiPadOS 14.5以降ではAirTagなどの「探す」対応アクセサリに関する迷惑な追跡通知が提供されており、さらに業界規格に対応した不明なBluetoothトラッカーについては、iOS 17.5以降のiPhoneで通知を利用できます。
Androidについても、GoogleはAndroid 6以降の端末で「不明なトラッキング アラート」を提供しています。
つまり、「自分はAirTagを買っていないから関係ない」という考え方は逆です。
自分が所有していないからこそ、知らないタグが自分と一緒に移動しているという通知に意味があります。
Appleでは、不明な持ち物に関する通知をタップしたあと、対応している場合には「サウンドを再生」や「近くを探す」などを利用して対象を探すことができ、発見した機器についてはシリアル番号やデバイスIDなどを確認できる場合があります。
Androidでも、通知をタップすると、自分と一緒に移動していたトラッカーが検出された場所を地図で確認でき、対応する機器では音を鳴らしたり「付近を探す」を利用したりできます。
ただし、この地図の意味も正確に理解しておきましょう。
Googleは、表示される地図について「トラッカーが自分と一緒に検出された場所」を示すものであり、トラッカーの所有者がいつ、どこから位置情報を確認したのかを示すものではないと説明しています。
したがって、地図が表示されたからといって、「この時間に犯人が私を見ていた」と断定することはできません。
この違いは非常に重要です。
一方で、その地図から「どの時点から自分と一緒に移動していた可能性があるか」を確認することは、その後に持ち物を確認する範囲を考える材料になります。
ここで、実際に確認された過去事例を一つだけ見ておきます。
2025年末に水戸市で発生した事件では、2026年9月の裁判で、被告が紛失防止タグを仕込んだぬいぐるみを被害女性側へ届け、女性の所在を突き止めようとしていたことが明らかになり、その後、被害女性の車にも紛失防止タグを取り付けていたとされています。
この事例から防犯上学ぶべきことは、隠し場所の詳細ではありません。
重要なのは、追跡機器は「自分の所有物へ勝手に取り付けられる」場合だけでなく、「第三者から渡された物を自分が持ち運ぶ」という形でも自分と一緒に移動する可能性があるということです。
だから、知らないトラッカーの警告が出た場合に確認する対象は、車だけ、バッグだけ、と最初から決めつけない方が合理的です。
その日に自分と一緒に移動していた物のうち、普段から自分が所有している物なのか、借りた物なのか、最近第三者から渡された物なのかという観点から範囲を絞っていく方が、闇雲に身の回りを全部探すより判断しやすくなります。
ここでもう一つ、非常に多い誤解を解いておきます。
「Bluetoothを切れば追跡は止まる」とは限りません。
Googleは、不明なトラッカーが検出された場合について、自分のスマートフォンを機内モードにしたり、Bluetoothや位置情報サービスをOFFにしたりしても、トラッカーによる位置情報共有機能は停止できないと明記しています。
理由は、紛失防止タグの探索ネットワークが、自分のスマートフォンだけで成立しているわけではないからです。
そのため、スマートフォン側のBluetoothを切ったことで「もう追跡されない」と判断するのではなく、実際に不明なトラッカーが存在する可能性があるなら、その機器を特定し、メーカーが案内する正規の手順で対処する必要があります。
逆に、スマートフォン側の設定を不用意に切ることによって、迷惑な追跡通知そのものを受け取りにくくなる場合もあります。
Appleは、iPhoneで迷惑な追跡通知を受け取るための条件として、位置情報サービス、「iPhoneを探す」、Bluetooth、トラッキング通知を有効にし、機内モードをOFFにしておくことなどを案内しています。
「追跡が怖いから全部OFFにする」という判断が、必ずしも防犯上有利とは限らないわけです。
そして、紛失防止タグについて知っておきたい大きな変化が、2025年のストーカー規制法改正です。
警察庁によると、元交際相手などの自動車等へ紛失防止タグをひそかに取り付け、位置情報を取得する事案がみられたことなどを背景として、2025年12月10日に改正法が公布され、12月30日から「紛失防止タグを用いた位置情報の無承諾取得等」が規制対象へ追加されました。
▼

▼

つまり、紛失防止タグの悪用は、「便利な機器の想定外の使い方」というだけの問題ではありません。
現在は法律上も、ストーカー対策として明確に扱われる問題になっています。
ただし、位置情報が知られているように感じるとき、その原因を紛失防止タグだけに限定することも避けなければなりません。
スマートフォンの位置共有設定、Apple AccountやGoogleアカウント、家族向け位置共有サービス、SNSへの投稿など、別の経路から位置情報や生活圏につながる情報が伝わっている可能性もあるため、タグが見つからなかったことだけを理由に「位置情報は漏れていない」と結論付けることもできません。
ここまでを整理すると、危険性を判断するときに見るべきなのは「タグがある・ない」という一点だけではありません。
| 確認するポイント | そこから判断すること |
|---|---|
| 自分の所有物ではないトラッカーか | 借り物や家族のタグなど、合理的な理由があるか |
| 自分と一緒に移動した記録があるか | 単に近くにあっただけなのか、継続して移動している可能性があるのか |
| 最近、第三者から受け取った物があるか | 自分の持ち物以外も確認対象にする必要があるか |
| つきまとい・待ち伏せなど別の不審行動があるか | 単独の通知ではなく、一連のストーカー被害として警察へ伝える必要があるか |
| 自宅などを相手が知らない状況か | このあと移動する場所を慎重に判断する必要があるか |
| タグ以外の位置共有が残っていないか | タグを発見・無効化した後も別経路の確認が必要か |
このように考えると、紛失防止タグへの防犯は「車のどこに隠されるかを暗記すること」ではないと分かります。
通知と移動履歴、自分の持ち物、現在置かれている人間関係や不審な出来事を組み合わせ、「この通知には合理的な説明があるのか、それとも第三者による無断追跡を疑うべきなのか」を判断することが本当の対策です。
知らないトラッカーの通知が出たらどうする?
では、実際にスマートフォンへ「不明なトラッカー」に関する通知が表示されたら、何をすればよいのでしょうか。
最初にしてはいけないのは、意味が分からないからと反射的に通知を消し、何も確認せず普段どおり行動することです。
まず通知を開き、何の機器について警告されているのか、自分と一緒に移動していたことを示す情報があるのかを確認します。
Androidでは、通知をタップするとトラッカーが検出された場所が地図で表示され、トラッカーの種類やメーカー名などの詳細を確認できる場合があります。
iPhoneでも、通知から対象となる持ち物を探し、対応している場合にはサウンドを再生したり、「近くを探す」を利用したりできます。
ここで大切なのは、「タグ探し」より先に自分の現在の安全を判断することです。
元交際相手からつきまとわれている、最近待ち伏せされた、行き先を伝えていないのに相手が現れた、危害を加えるような言動があったなど、通知以外にも危険を感じる事情があるなら、人気のない駐車場などで一人になって機器を探し続けることは適切ではありません。
Appleは、不明な持ち物を見つけられず身の危険を感じる場合には、安全な公共の場所へ移動して警察へ相談するよう案内しています。
Googleも同様に、安全が脅かされていると感じる場合には、公共の安全な場所へ移動し、警察または信頼できる人へ連絡するよう案内しています。
つまり、ここでの判断基準はシンプルです。
「タグを見つけること」と「自分を安全な場所へ移すこと」が競合したら、安全確保を先にする。
これは証拠保全についても同じです。
通知が表示されたら、可能であれば警告画面や地図などをスクリーンショットで残しておきます。
Googleは、不明なトラッキングアラートとトラッカーの位置を示す地図について、スクリーンショットを撮って後から確認できると明記しており、Appleも、追跡への懸念がある場合には持ち物や持ち主に関する情報を記録するため、スクリーンショットを撮影する手順を案内しています。
ここで残したいのは、単なる「記念写真」ではありません。
いつ警告が出たのか、どの機器についての警告なのか、どのような移動情報が表示されていたのか、機器を発見した場合にはどのような情報が表示されたのかという、あとから自分自身や警察が状況を振り返るための情報です。
Androidでは過去のアラートを確認できますが、Googleはアラートが48時間後に削除されると案内しています。
だからこそ、ストーカー被害との関連が疑われるような場合には、「あとで見ればいい」と放置するより、その時点で必要な画面を保存しておく意味があります。
次に考えるのが、「そのまま自宅へ帰ってよいのか」です。
これは「不明なトラッカーの通知が出た人は、絶対に帰宅してはいけない」という意味ではありません。
自宅をすでに相手が知っているのか、誰かからつきまとわれている事情があるのか、通知に合理的な理由が思い当たるのか、現在身の危険を感じているのかによって判断は変わります。
ただ、自宅を知られていないはずの相手から追跡されている可能性があり、しかも不明なトラッカーが自分と一緒に移動しているのであれば、その機器を持ったまま普段どおり自宅へ移動することが適切かは一度考える必要があります。
危険を感じる場合には、安全な公共の場所や警察署などへ移動し、そこで相談する方が合理的です。
そして安全が確保できているのであれば、次に「何と一緒にトラッカーが移動していた可能性があるのか」を整理します。
ここで、車の隅から隅まで闇雲に探したり、バッグを何個も分解したりする必要はありません。
通知に表示された移動情報と、その時間帯に自分が持っていた物を照らし合わせます。
車を使っていた時間だけなのか。
車から離れたあとも一緒に移動しているように見えるのか。
最近借りた物や第三者から受け取った物があるのか。
こうして「どの持ち物と一緒に動いている可能性が高いか」を絞り込んでから確認した方が、無関係な物を延々と探すより合理的です。
Androidでは、手動スキャンも利用できます。
Googleの現在の案内では、「設定」から「安全性と緊急情報」へ進み、「不明なトラッカーのアラート」から「スキャン開始」を選択でき、手動スキャンには10秒ほどかかります。
ただし、手動スキャンでトラッカーが表示されたことだけを理由に、直ちにストーカー行為だと判断してはいけません。
Googleは、手動スキャンで検出される機器について、その時点で近くに存在し、所有者のデバイスから離れている機器であり、単に置き忘れられていたり、一時的に所有者から離れているだけの場合もあると説明しています。
ここでも重要なのは、「検出された」という一つの事実だけで結論を出さず、自分と一緒に移動しているのかという情報と組み合わせて判断することです。
トラッカーを発見できた場合には、次の判断へ進みます。
Appleの場合、対応するAirTagなどへiPhoneを近づけることで、シリアル番号またはデバイスID、登録者の電話番号下4桁または一部が伏せられたメールアドレスなどを確認できる場合があり、Appleは追跡への懸念がある場合に、こうした持ち物と持ち主の情報をスクリーンショットで記録するよう案内しています。
さらにAppleは、警察へ届け出る場合、AirTagなどの本体やデバイスのシリアル番号の提示を求められる場合があるとしています。
つまり、ストーカーとの関連が疑われる状況でタグを見つけたとき、何も確認せずその場で投げ捨てることが常に最善とは限りません。
一方で、「証拠になるかもしれないから」という理由で、危険な状態のまま追跡可能な機器を持ち続けなければならないわけでもありません。
Appleは、対象となる持ち物を無効にする手順を画面から確認し、その案内に従ってデバイスを無効化して位置情報の共有を停止できると説明しており、無効化後は持ち主が現在位置の更新を取得できなくなるとしています。
Googleについても、発見したトラッカーの種類によって、情報保存やデバイス無効化などの手順が異なると案内しています。
したがって、正しい考え方は、
「必ずその場で壊す」でも、「証拠のために絶対に触らない」でもありません。
現在の危険度を判断し、安全が確保できるのであれば必要な情報を保存し、その後はスマートフォンに表示されるメーカー公式の無効化手順を確認しながら、警察へ相談する必要性も含めて対処します。
特に、元交際相手などからすでにつきまといを受けている、待ち伏せがある、以前から居場所を知られているような出来事が続いている、脅迫的な言動があるという状況なら、タグだけを単独の出来事として扱わないことが重要です。
警察へ相談するときも、「知らないAirTagがありました」だけでは、それ以前に何が起きていたのかが十分伝わらない場合があります。
タグの通知が出た日時、発見した日時や場所、それ以前に起きていたつきまといや待ち伏せ、相手との関係、居場所を知られていると感じた出来事などを時系列で整理すると、「電子機器が一つ見つかった」という話ではなく、一連の行為として状況を伝えやすくなります。
ここで、行動の優先順位を整理しておきます。
| 状況 | まず考えること | 次の行動 |
|---|---|---|
| 知らないトラッカーの通知が出た | 自分の物・借り物など合理的な理由があるか | 通知内容と移動情報を確認する |
| ストーカー等の心当たりがあり危険を感じる | タグ探しより自分の安全 | 安全な公共の場所へ移動し、必要に応じて警察へ連絡する |
| 移動履歴などが表示されている | あとから確認できる情報を残せるか | 安全ならスクリーンショットを保存する |
| トラッカーを発見した | 機器情報を確認できるか | 安全を確保したうえでシリアル番号等を記録し、公式の無効化手順を確認する |
| 誰が付けたのか心当たりがある | 自分で確認しに行く必要はない | 本人へ直接対峙せず警察へ事情を伝える |
| 今まさに待ち伏せ・追跡・危害のおそれがある | 生命・身体の安全が最優先 | 110番する |
| 緊急ではないがストーカー等の不安がある | 犯罪になるか自分で判断する必要はない | #9110や警察署へ相談する |
特に最後の二つは区別しておきましょう。
警察庁は、警察相談専用電話「#9110」について、犯罪に当たるか分からない場合を含め、ストーカーなど警察へ相談したいことがある場合に利用できる窓口として案内しており、全国どこからでも、電話をかけた地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながります。
一方、今まさに誰かにつけられている、待ち伏せされている、危害を加えられそうになっているなど、警察官に直ちに来てもらう必要がある緊急事態では110番です。
「本当にストーカーかどうか分からないから、警察には相談できない」と自分だけで判断する必要はありません。
むしろ、紛失防止タグだけでなく、それ以前の行動や接触まで含めて相談することで、警察側が状況を把握するための情報が増えます。
そして、タグを発見したからといって、疑っている人物へ自分から連絡する必要もありません。
「あなたが付けたのか」と電話する。
タグを持って相手のところへ行く。
証拠を見せて問い詰める。
こうした行動は、誰が取り付けたのか確認できていない段階で相手との直接接触を増やすことになり、安全確保という目的から外れてしまいます。
「タグを発見した」という事実と、「誰が取り付けたのか」という事実は別です。
後者を自分で証明する必要はありません。
また、タグを無効化したあとも、「これで位置情報の問題は完全に解決した」とすぐ結論付けない方がよい場合があります。
不審な人物が自分の居場所を知っていると感じる状況が続くのであれば、スマートフォンの位置情報共有、Apple AccountやGoogleアカウントへのアクセス、共有アプリなど、別の経路が残っていないかも確認対象になります。
つまり、トラッカーを発見することはゴールではありません。
「なぜ自分の居場所が知られているように感じたのか」という問題全体を切り分け、その原因の一つとして紛失防止タグが確認されたのか、それとも別の原因も考える必要があるのかを整理することが、その後の安全につながります。
最後に、今回の宜野湾市の事件へ戻ります。
女性が事件前に車へ紛失防止タグが付けられていると警察へ相談していたこと、沖縄県警が元交際相手による取り付けの可能性を含めて捜査していることは確認されていますが、2026年10月6日時点で、タグによる位置情報取得と殺害との直接的な因果関係まで確定したわけではありません。
だからこそ、この事件から得るべき教訓を必要以上に単純化してはいけないとGUARD ONは考えます。
「知らないタグがあったら殺人につながる」という話ではありません。
そうではなく、
本人が知らないうちに位置情報を取得するための機器を持たされるという行為が現実に起きており、法律もその実態を受けて改正されている以上、スマートフォンが発する小さな警告を“よく分からない通知”として扱わないための知識を持っておく。
そこに、今回の記事の意味があります。
知らないタグを発見したとき、最初にすること
「これ、私のものじゃない……」
車の中やバッグ、普段持ち歩いている物から、見覚えのない紛失防止タグを発見したとき、最初に考えてほしいのは、そのタグをどう処分するかではなく、今いる場所と自分自身が安全かどうかです。
驚いて、その場ですぐに捨てたくなるかもしれません。
あるいは、家族や友人の誰かが付けたのではないかと思い、「たぶん大丈夫」と、そのまま帰宅してしまう人もいるでしょう。
しかし、自分では取り付けていない、取り付けた人にも心当たりがない、さらにスマートフォンに「あなたと一緒に移動している不明なトラッカーが検出されました」といった趣旨の警告まで表示されているのであれば、「誰が付けたのか」を考えるより先に、「自宅など知られたくない場所へ、このまま移動してよいのか」を考える必要があります。
ここが最初の重要なポイントです。
まず「そのまま自宅へ帰る」という行動をいったん止める
たとえば外出先の駐車場で、自分の車から見覚えのないタグを発見したとします。
このとき、
「気持ち悪い。家に帰ってからゆっくり調べよう」
と考えるのは自然な反応です。
しかし、ストーカー行為などを少しでも疑う事情がある場合には、自宅へ戻る前に安全を確認するという発想を持ってください。
紛失防止タグは、本来は鍵やバッグなどを探すための機器ですが、対応するネットワークを通じて持ち物の位置を確認できるものがあり、悪用された場合には本人の同意なく移動を把握される可能性があります。
つまり、問題なのは「小さな機械が付いていた」ということだけではありません。
その機械と一緒に自分がどこへ移動したのかという情報が、第三者による位置の把握につながっている可能性を考える必要があるのです。
そのため、見覚えのないタグを発見し、元交際相手や知人とのトラブル、つきまとい、待ち伏せ、不自然な連絡など、身の危険を感じる事情がある場合には、自宅へ直行するのではなく、まず人目のある安全な場所へ移動することを考えます。
Googleも、不明なトラッカーの警告が表示されて安全が脅かされていると感じた場合には、公共の安全な場所へ移動し、警察または信頼できる人物へ連絡するよう案内しています。
Appleも同様に、不明な追跡機器が見つからず身の危険を感じる場合などには、安全な公共の場所へ移動して警察へ相談するよう案内しています。
重要なのは、
「タグを見つけた=必ず犯罪」ではない。
しかし同時に、
「タグを見つけた=ただの落とし物だろう」と自分だけで決めつけない。
この二つを分けて考えることです。
「誰が付けたの?」より先に、スマートフォンの画面を残す
知らないタグを発見すると、多くの人が真っ先にタグ本体を手に取り、メーカー名や製品名を検索したくなると思います。
その前に、スマートフォンに不明なトラッカーの警告が表示されているなら、まずその画面を消さず、スクリーンショットを残してください。
Androidでは、不明なトラッキングアラートを開くと、自分と一緒に移動していると判断されたトラッカーが検出された場所を地図上で確認できる場合があります。
Googleは、この警告画面やトラッカーの位置を示す地図について、後から確認できるようスクリーンショットを撮っておくことを案内しています。
AirTagの場合も、対応するスマートフォンをAirTagに近づけることで、シリアル番号や登録者に関する一部の情報が表示される場合があり、Appleはその情報をスクリーンショットとして記録しておけると案内しています。
ですから、難しく考える必要はありません。
「画面に出ているものを、とりあえず撮って残す」
まずはこれで構いません。
警告が表示された時刻、地図、検出された場所、表示されている機器名や識別情報など、後から見返せる情報は残しておきます。
ただし、記録することに夢中になって、その場に長時間とどまる必要はありません。
周囲に不審な人物がいる、誰かにつけられている気がする、自宅や勤務先の近くで待ち伏せされている、元交際相手などから危害を加えられる不安があるといった場合には、記録より自分の安全確保が優先です。
タグを見つけても、慌てて壊す前に一度考える
次に注意したいのが、タグ本体の扱いです。
知らないAirTagなどを発見すれば、
「こんなもの、すぐ壊した方が安全なのでは?」
と思うかもしれません。
位置情報の共有を止める必要がある場合はあります。
ただし、「位置情報を止めること」と「タグを破壊して捨てること」は同じではありません。
AirTagでは、NFC対応スマートフォンを近づけることで、シリアル番号や登録者の電話番号の下4桁などが表示される場合があります。
またAppleは、警察が調査する際、AirTagなどの本体やシリアル番号の提示を求める場合があると説明しています。
スポンサーリンク
つまり、ストーカー行為などが疑われ、警察へ相談する可能性があるのであれば、何も記録しないまま破壊・廃棄してしまうより、「何が付いていたのか」を確認できる状態を残しておくことが重要になる場合があります。
一方で、危険を感じながら「証拠だから」とタグを持ったまま移動し続けることを勧めているわけではありません。
ここは混同しないでください。
身の危険が迫っているなら、安全確保が最優先です。
そのうえで、安全な状況であれば、スマートフォンに表示された情報、タグ本体、見つかった場所や状態などを記録し、必要に応じて警察へ相談してから、その後の扱いを判断します。
BluetoothをOFFにしただけでは「もう大丈夫」とは考えない
ここは、スマートフォンに詳しくない人ほど知っておいてほしい部分です。
不明なタグの警告が出たとき、
「Bluetoothを切れば追跡されないのでは?」
「スマホの位置情報をOFFにすれば大丈夫では?」
と思うかもしれません。
しかし、それだけで問題が解決するとは限りません。
Googleは、スマートフォンを機内モードにしたり、Bluetoothや位置情報サービスをOFFにしたりしても、トラッカーそのものによる位置情報共有を停止できるわけではないと案内しています。
Appleも、自分のiPhone側でBluetoothや位置情報サービスなどを無効にしただけでは、AirTag等の所有者による位置確認を防ぐことはできず、対象となる持ち物そのものを適切な手順で無効にする必要があると説明しています。
つまり、
「私のスマホのBluetoothをOFFにしたから、これで追跡は終わった」
とは判断しないことです。
AirTagなどが実際に見つかった場合は、iPhoneやAndroidに表示される案内、または製造元の公式手順に従って、そのトラッカー自体を無効化する必要があります。
「タグが見つからない」ときこそ、一人で探し続けない
スマートフォンには警告が出ている。
音を鳴らしてみた。
しかし、どこにあるのか分からない。
この状態になると、不安になってバッグの中身を全部出したり、暗い駐車場で車の周囲を何度も探したりしたくなるかもしれません。
しかし、場所によっては「タグ探し」より、その場から離れる方が重要です。
AppleもGoogleも、トラッカーが見つからず、身の危険を感じる場合には、安全な公共の場所へ移動して警察などへ相談することを案内しています。
特に夜間、人通りの少ない場所、自宅駐車場などで警告に気付いた場合に、一人で長時間探し続ける必要はありません。
「見つけるまで帰れない」と考えないでください。
スマートフォンに表示された警告や地図を保存し、安全な場所へ移動してから次の対応を考えるという選択肢があります。
女性に覚えておいてほしいのは「5つの順番」
専門的な仕組みをすべて覚える必要はありません。
知らないタグを発見したときは、まず次の順番を思い出してください。
| 順番 | まずすること | なぜ必要なのか |
|---|---|---|
| ① | 自分の安全を確認する | タグの確認より、身の安全を優先するため |
| ② | 危険を感じるなら自宅へ直行しない | 自宅など知られたくない場所へ移動する前に安全を確保するため |
| ③ | 警告画面・地図・機器情報を保存する | 後から状況を説明・確認できるようにするため |
| ④ | 安全な状態でタグを確認する | 機器の種類や識別情報を確認し、適切な無効化方法を判断するため |
| ⑤ | 危険性に応じて警察へ相談する | 自分だけで「犯罪か、偶然か」を決めつけないため |
そして、もう一つ大切なことがあります。
「誰が付けたのか確かめるため、心当たりのある相手に直接連絡する」という行動を最初に選ばないことです。
「これ、あなたが付けたの?」
「どうしてこんなことをしたの?」
そう問いただしたくなる気持ちは自然ですが、相手との関係や状況によっては、こちらがタグの存在に気付いたことを伝えることで状況が変化する可能性があります。
ストーカー行為やつきまといなどが疑われるのであれば、自分一人で相手を特定したり、問い詰めたり、会って確認したりするのではなく、まず安全な場所から警察へ相談することを考えてください。
「何も起きていないから相談しにくい」と考えなくていい
知らないタグを見つけても、
「まだ何もされていないのに警察へ行っていいのかな」
と迷う女性はいると思います。
しかし、相談するために「実際に襲われる」「家まで来られる」といった被害が発生するまで待つ必要はありません。
知らないタグが自分の車や持ち物から見つかったことに加えて、元交際相手とのトラブル、つきまとい、待ち伏せ、不審な連絡などがあり、不安を感じているのであれば、その事情をまとめて警察へ伝えることが重要です。
その際には、
「AirTagがありました」
だけで終わらせるのではなく、
「いつ気付いたのか」「どこから見つかったのか」「スマートフォンにどのような警告が出たのか」「ほかに不審な出来事があったのか」「特定の人物に心当たりがあるのか」「現在、身の危険を感じているのか」
という順番で伝えると、状況を説明しやすくなります。
そして、今まさに誰かにつけられている、待ち伏せされている、相手が近くにいる、危害を加えられるおそれがあるなど、緊急性がある場合は相談窓口を探している段階ではありません。110番通報を優先してください。
紛失防止タグへの対処で一番大切なのは、機械に詳しくなることではありません。
「知らないタグを見つけたら、まず自分の安全を確認する。危険を感じたら自宅へ直行しない。画面や機器の情報を残す。そして、一人で相手を突き止めようとしない。」
この順番を知っているだけでも、突然の警告や発見に慌てたとき、次に何をすればよいのかを判断しやすくなります。
自分の身を守るための行動とは?

「もしかして、私の居場所を誰かに知られている?」
そう感じたとき、一番避けたいのは、怖くなって普段と同じように自宅へ戻り、一人になってから対処しようとすることです。
位置を追跡されている可能性がある場合に守るべきものは、スマートフォンでもAirTagでもありません。
自分自身です。
そして、自分の身を守るために必要なのは、犯人を突き止めることではなく、「今いる場所」「これから向かう場所」「一人になる時間」をいったん見直すことです。
特に女性の場合、夜間の帰宅途中、一人暮らし、自宅駐車場、勤務先からの退勤時など、「このあと一人になる」という状況も考えながら行動する必要があります。
「いつもの帰宅ルート」をそのまま続けない
スマートフォンに知らないトラッカーの警告が表示された。
車から知らないタグが見つかった。
最近、同じ人物を何度か見かける。
元交際相手とのトラブルが続いている。
こうした事情が重なり、「位置を知られているかもしれない」と感じたのであれば、最初に考えるのは予定どおり自宅へ帰ってよいのかです。
ここで重要なのは、「追跡されていることが確定するまで待つ」という考え方をしないことです。
本当に追跡されているのか、単なる誤認なのかを、その場で自分一人で証明する必要はありません。
危険性を否定できないのであれば、まず安全側に行動を切り替えます。
たとえば、夜に車で帰宅している途中なら、自宅駐車場へそのまま入るのではなく、人目があり、助けを求めやすい場所へ移動するという考え方があります。
Appleも、不明な追跡機器を見つけられず身の危険を感じる場合には、安全な公共の場所へ移動して警察へ相談するよう案内しています。
Googleも同様に、安全が脅かされていると感じる場合は公共の安全な場所へ移動し、警察または信頼できる人物へ連絡するよう案内しています。
つまり、
「とりあえず家まで帰ってから考えよう」ではなく、「家に帰る前に一度考える」。
これが身を守るための大きな分岐点になります。
自宅だけではなく「知られたくない場所」へ向かわない
注意したいのは自宅だけではありません。
- 実家。
- 子どもの保育園や学校。
- 勤務先。
- 家族の家。
- 交際相手の家。
- 自分が頻繁に利用している場所。
もし第三者が位置を追跡している可能性を疑っているのであれば、こうした場所へそのまま向かうことにも慎重になる必要があります。
なぜなら、位置追跡で問題になるのは、「今どこにいるのか」だけではないからです。
同じ場所への移動が繰り返されれば、生活の拠点や日常的に訪れる場所を推測する材料になる可能性があります。
特に一人暮らしの場合、自宅という場所は単なる目的地ではありません。
「ここに帰れば、この人は一人になる可能性がある」という情報まで結び付くことがあります。
だからこそ、追跡されている可能性を感じた直後は、普段の生活パターンをそのまま続けるのではなく、まず自分が安全を確保できる場所へ移動することを優先します。
絶対に、一人で解決しようとしない
位置追跡を疑った女性が陥りやすいのが、
「大げさにしたくない」
「家族に心配をかけたくない」
「勘違いだったら恥ずかしい」
「警察に相談するほどではないかもしれない」
と、自分だけで抱え込んでしまうことです。
しかし、この段階で必要なのは「犯罪だと証明すること」ではありません。
自分一人しか状況を知らない状態をつくらないことです。
信頼できる家族や友人などに、
「知らないトラッカーの警告が出た」
「車から知らないタグが見つかった」
「今○○にいる」
「これから警察に相談する」
といった現在の状況を伝えておけば、少なくとも第三者が異変を把握できます。
ただし、SNSで広く公開する必要はありません。
InstagramやXなどに「今ここに避難しています」「これから○○警察署へ行きます」とリアルタイムで投稿すれば、自分から現在地や次の行動を公開することになりかねません。
必要なのは不特定多数への発信ではなく、信頼できる相手へ個別に知らせることです。
「相手を確かめに行く」は身を守る行動ではない
「元彼かもしれない」
「職場のあの人かもしれない」
「最近連絡してくる人が怪しい」
心当たりが浮かんだとしても、その人物のところへ確認に行くことは避けます。
電話をかけて問い詰める。
「タグを付けたでしょう」とメッセージを送る。
相手の家へ行く。
呼び出して話し合う。
こうした行動は、「誰がやったのか確認する」という意味では合理的に見えるかもしれませんが、自分の身を守るという目的では別問題です。
相手が本当に関係しているのか分からない段階で、自分から接触する必要はありません。
特に過去に暴力、脅迫、激しい束縛、待ち伏せ、つきまといなどがあった人物を疑っているのであれば、自分だけで確認しようとせず、その事情も含めて警察へ伝える方が安全です。
「誰が付けたのか」は、その場であなたが解明しなければならない問題ではありません。
「スマホを切れば安全」と思わないこと
位置を追跡されていると感じると、
「位置情報をOFFにしよう」
「BluetoothをOFFにしよう」
「機内モードにすれば大丈夫」
と考えるかもしれません。
ところが、紛失防止タグの場合、これだけでは十分ではありません。
Googleは、スマートフォンを機内モードにしたり、Bluetoothや位置情報サービスをOFFにしたりしても、トラッカーによる位置情報の共有を停止できるわけではないと明記しています。
Appleも、iPhone側で「探す」ネットワーク、Bluetooth、位置情報サービスなどを無効にするだけでは、AirTag等の所有者が位置情報を確認することを防げないと案内しています。
つまり、
「スマートフォンの位置情報を切った=相手から見えなくなった」
とは限りません。
対象となるトラッカーそのものを確認し、製造元が示している方法で適切に無効化する必要があります。
ただし、暗い駐車場や人通りの少ない場所で、一人で何十分もタグを探し続ける必要はありません。
見つからず、なおかつ身の危険を感じるのであれば、機械を探すことより、安全な場所へ移動することを優先してください。
「追跡されているかも」と感じたら、情報を1か所にまとめる
警察へ相談するとき、
「なんとなく怖いんです」
だけでは、自分自身も何から説明すればよいのか分からなくなることがあります。
そこで、落ち着いて操作できる安全な場所へ移動したら、これまで起きたことを時系列で整理します。
難しい資料を作る必要はありません。
スマートフォンのメモでも構いません。
「10月○日20時ごろ、帰宅途中に警告が出た」
「○○駐車場で車を確認した」
「車から見覚えのないタグを発見した」
「数日前から同じ人物を自宅付近で見かけている」
「元交際相手から連絡が続いている」
というように、事実と自分の推測を分けて記録するのがポイントです。
「元交際相手が犯人」と断定するのではなく、
「元交際相手から○日にこの内容のメッセージが来た」
「○日に自宅付近で見かけた」
「○日に知らないタグを発見した」
という形で、確認できる事実を並べます。
スマートフォンに表示された不明なトラッカーの警告、検出された場所を示す地図、日時、機器情報なども保存しておきます。
Androidでは不明なトラッキングアラートや位置を示す地図をスクリーンショットとして残すことができ、AppleもAirTag等について持ち物や持ち主に関する情報を記録することを案内しています。
ここでも、証拠を完璧にそろえてから警察へ行こうとは考えないでください。
安全確保が先、記録はその次です。
「110番するほどなのか」で迷ったら、現在の危険を見る
警察への連絡で迷いやすいのが、
「110番していいの?」
という問題です。
判断するときは、「AirTagが付いていたか」だけを見るのではなく、今この瞬間に危険が迫っているかを考えます。
誰かにつけられている。
自宅前で待ち伏せされている。
相手が近くにいる。
車で追いかけられている。
脅迫されている。
危害を加えられるおそれがある。
このように緊急性がある場合は、ためらわず110番を考えます。
反対に、現在差し迫った危険はないものの、「知らないタグが付いていた」「つきまとわれている気がする」「元交際相手とのトラブルがあり不安だ」など、今後の安全について相談したい場合は、最寄りの警察署や警察相談専用電話「#9110」などへ相談する方法があります。
重要なのは、重大な被害が発生してから初めて相談するものではないということです。
女性に覚えておいてほしい「身を守る順番」
突然、不明なトラッカーの警告が出れば、冷静に何項目も思い出すのは難しいと思います。
そこで、最低限、この順番だけ覚えておいてください。
| 順番 | 行動 | 判断するときのポイント |
|---|---|---|
| ① | 今いる場所の安全を確認する | 周囲に不審な人物はいないか、一人になっていないか |
| ② | 危険を感じるなら普段の目的地へ向かわない | 自宅・勤務先・実家などを知られる可能性を考える |
| ③ | 安全な公共の場所へ移動する | 人目があり、必要なら助けを求められる場所を選ぶ |
| ④ | 信頼できる人へ個別に知らせる | 一人だけで状況を抱え込まない |
| ⑤ | 警告・地図・日時などを残す | 安全を確保したうえで、後から説明できる情報を保存する |
| ⑥ | 相手を自分で確かめに行かない | 心当たりがあっても直接対決しない |
| ⑦ | 危険度に応じて警察へ連絡する | 差し迫った危険なら110番、それ以外の相談は警察署や#9110を検討する |
位置を追跡されている可能性があるとき、女性自身が「誰がやったのか」「どういう仕組みなのか」「本当に犯罪なのか」まで、その場ですべて判断する必要はありません。
むしろ最初に考えるべきなのは、もっと単純です。
「このまま家に帰って大丈夫か」
「これから一人になって大丈夫か」
「今いる場所で安全を確保できるか」
ここから判断してください。
そして、怖いと感じる事情があるなら、その感覚を自分だけで打ち消して普段どおりの行動を続けるのではなく、安全な場所へ移動し、信頼できる人や警察につなげる。
位置追跡への防犯では、犯人を見つけることより先に、相手から自分を遠ざけ、一人にならない状況をつくることが、自分の身を守るための最初の行動になります。
110番・#9110・警察署へ相談するタイミング
知らない紛失防止タグが車やバッグから見つかった。
スマートフォンに「不明なトラッカーがあなたと一緒に移動しています」といった警告が表示された。
さらに、元交際相手とのトラブルや、待ち伏せ、つきまとい、不審な連絡などにも心当たりがある。
ここまでくると、「警察に相談した方がいいのかな」と考える女性は多いと思います。
ただ、その次に迷うのが、
「110番していいの?」
という問題です。
110番は大げさな気がする。
#9110との違いもよく分からない。
警察署へ直接行った方がいいのか、それとも電話で相談すればいいのかも分からない。
さらに、「タグが付いていただけで、まだ何もされていない」と考え、相談をためらってしまうこともあるでしょう。
ここでは難しく考えず、まず一つの基準で分けてください。
「今、危険が迫っているのか。それとも、今後の危険について相談したいのか」です。
この違いが、110番と#9110、警察署への相談を使い分ける大きな目安になります。
「今、危ない」なら110番を考える
110番は、警察官にすぐ現場へ来てもらう必要があるような緊急の事件・事故のための通報です。
紛失防止タグが見つかったという事実だけで機械的に「必ず110番」と判断するものではありません。
見るべきなのは、タグそのものより、あなたが現在置かれている状況です。
たとえば、知らないタグを発見した直後、以前からトラブルになっていた相手が駐車場付近にいる。
帰宅途中に同じ車が後ろをついてくる。
自宅前で待ち伏せされている。
「今どこにいるか分かっている」など、自分の居場所を把握していることをうかがわせる連絡が届く。
逃げようとしているのに後を追われる。
こうした状況であれば、「タグについて相談したい」という段階ではなく、現在の安全を確保するための通報として考える必要があります。
「本当に襲われるか分からないから……」
と、自分で危険性を証明してから110番する必要はありません。
今まさに身の危険を感じているのであれば、安全な場所へ移動できる場合は移動しながら、110番してください。
そして電話では、AirTagの仕組みを詳しく説明することから始める必要はありません。
最初に伝えるべきなのは、
「今、何が起きているのか」
です。
たとえば、
「知らない紛失防止タグが車から見つかりました。以前トラブルになった相手が近くにいるようで、怖くて家に帰れません」
という伝え方なら、現在の問題が分かります。
誰かにつけられているのであれば、
「車で後をつけられています。今、○○付近にいます」
と、現在進行中の状況を先に伝えます。
完璧に説明しようとしなくて構いません。
警察側から必要なことを聞かれますので、現在地、現在起きていること、自分が危険を感じていることを落ち着いて伝えてください。
「今すぐではない。でも怖い」なら#9110という選択肢がある
一方、タグを発見したものの、現在誰かに追われているわけではない。
相手が近くにいる様子もない。
今いる場所は安全。
けれど、
「元交際相手が付けたのではないか」
「最近、自宅付近で不審なことが続いている」
「また取り付けられるのではないか」
「このまま普通に生活して大丈夫なのか」
と不安を感じている。
このような緊急ではない警察への相談に利用できるのが、警察相談専用電話「#9110」です。
#9110は、全国どこからでも、電話をかけた地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながる仕組みです。
ここで覚えてほしいのは、
110番=深刻な事件、#9110=軽い事件
という分け方ではないことです。
違いは主に緊急性です。
ストーカーや位置追跡に関する問題は、現在は直接危害を加えられていなくても、その後の安全に関わることがあります。
だからこそ、「まだ被害に遭っていないから相談できない」と考える必要はありません。
不安を感じている段階で、何が起きているのかを相談するための窓口として#9110があります。
警察署へ直接相談した方がよい場合もある
電話だけでは状況を説明しにくいこともあります。
たとえば、実際に発見した紛失防止タグが手元にある。
スマートフォンに不明なトラッカーの警告画面が残っている。
移動履歴を示す画面がある。
元交際相手などから送られてきたメッセージが残っている。
以前からのつきまといや待ち伏せについて、日時を記録している。
こうした情報をまとめて説明したいのであれば、警察署へ直接相談する方法もあります。
この場合も、「証拠を完璧にそろえてから行かなければならない」と考えなくて構いません。
手元にあるものを持っていけばよいのです。
スマートフォンそのもの。
警告画面のスクリーンショット。
タグを発見した日時のメモ。
発見した場所。
タグ本体を安全に保管している場合はその本体。
不審なメッセージや着信履歴。
これまでに起きたことを簡単に時系列で書いたメモ。
こうした情報があれば、相談するときに状況を説明しやすくなります。
特に大切なのは、事実と推測を分けることです。
「元彼がAirTagを付けました」
と、確認できていないことまで断定する必要はありません。
それより、
「10月○日にスマートフォンへ不明なトラッカーの警告が出た」
「その日の○時ごろ、車から見覚えのないタグを発見した」
「元交際相手とは○月からトラブルになっている」
「○月○日には自宅付近で姿を見かけた」
というように、実際に起きたことを順番に伝えます。
そのうえで、
「元交際相手が関係しているのではないかと不安です」
と自分の心配を伝えれば、事実と推測を混同せず説明できます。
「タグだけでは警察に相談できない」と自分で決めない
ここは特に女性に知っておいてほしいところです。
「暴力を振るわれたわけではない」
「家に侵入されたわけでもない」
「タグを見つけただけ」
このように考えて、相談を先延ばしにしないでください。
紛失防止タグについては、法制度も変わっています。
2025年12月30日から施行された改正ストーカー規制法では、一定の関係にある相手について、紛失防止タグを用いて承諾なく位置情報を取得する行為や、位置情報を取得する目的で紛失防止タグを所持品等に取り付ける行為などが新たに規制対象となっています。
つまり現在は、紛失防止タグの悪用そのものが、ストーカー対策を考えるうえで警察が扱う問題として明確に位置付けられています。
もちろん、自分の車から知らないタグが一つ見つかっただけで、直ちにストーカー行為だと断定できるわけではありません。
だからこそ、自分だけで結論を出さないことが大切です。
「犯罪かどうか分からないから相談しない」のではなく、「犯罪かどうか自分では判断できないから相談する」。
この考え方で構いません。
相談するときは「AirTagがありました」だけで終わらせない
警察へ相談するときには、タグだけに話を絞りすぎないことも重要です。
位置追跡が疑われる問題では、その前後に起きている出来事も一緒に伝えます。
たとえば、
「最近、元交際相手から何度も連絡が来ている」
「自宅付近で待っていたことがある」
「勤務先を知られている」
「拒否しているのに連絡が続いている」
「以前、行動を監視するようなことを言われた」
「その後、知らないタグが見つかった」
という事情があるなら、タグとは別の話だと思って省略しないでください。
一つ一つの出来事だけを見るのではなく、いつから何が続いているのかを伝えることが重要だからです。
女性側からすると、
「こんなことまで話したら大げさかな」
と思う内容でも、相談する側で勝手に削る必要はありません。
起きたことを伝えたうえで、その情報をどう判断するかは警察に任せます。
警察へ行く前に相手へ確認しない
もう一つ、相談前に避けたい行動があります。
「警察へ行く前に本人へ聞いてみよう」
という行動です。
特に元交際相手などに心当たりがある場合、
「このAirTag、あなたが付けた?」
と確認したくなるかもしれません。
しかし、相手が本当に関係しているのであれば、自分がタグに気付いたことや警察への相談を考えていることを、自分から知らせることになります。
直接会って問い詰めることは、さらに避けてください。
相手を特定することより、自分の安全を確保することが先です。
110番・#9110・警察署で迷ったら、こう考える
難しい制度を覚える必要はありません。
次のように整理すると判断しやすくなります。
| 今の状況 | 選択肢 | 判断の考え方 |
|---|---|---|
| 誰かにつけられている・待ち伏せされている・相手が近くにいる・危害のおそれがある | 110番 | 今まさに警察の対応が必要 |
| タグを発見し、ストーカー等の不安があるが、現在は安全 | #9110 | 緊急ではないが警察へ相談したい |
| タグ本体・警告画面・メッセージ・記録などを見せながら詳しく相談したい | 警察署 | 資料を示しながら経緯を説明しやすい |
| 判断できないほど怖い、状況が急に変わった | 安全確保を優先し、緊急性があれば110番 | 「間違っていたらどうしよう」より現在の安全を優先 |
そして、相談した後も状況は変わる可能性があります。
昼間に#9110や警察署へ相談した時点では緊急性がなくても、その日の夜に相手が自宅前へ現れた、車で追いかけられた、危害を示唆する連絡が来たなど、状況が「相談」から「緊急事態」に変わったのであれば、110番へ切り替えてください。
一度#9110へ相談したから、その後も#9110しか使えないわけではありません。
反対に、タグを見つけたという理由だけで、自分で犯人を探したり、相手の家へ行ったりする必要もありません。
警察へ相談するときに求められるのは、あなた自身による捜査ではなく、「いつ・どこで・何が起きたのか」「今どの程度の危険を感じているのか」を伝えることです。
知らない紛失防止タグを発見したとき、
「これくらいで警察に相談していいのかな」
と迷ったら、考え方を少し変えてください。
何か起きてから相談するのではなく、何か起きる前に相談する。
特に、位置を知られている可能性があり、元交際相手とのトラブルやつきまといなど別の不安も重なっているのであれば、「まだ被害に遭っていない」という理由だけで様子を見る必要はありません。
そして今まさに危険が迫っているなら、相談するかどうかを一人で長く悩まず、110番につなげる。
110番は「今の危険」、#9110や警察署は「これからの危険も含めた相談」。
まずはこの違いを覚えておくと、突然怖い状況に置かれたときでも、次にどこへ連絡すればよいのか判断しやすくなります。
まとめ
紛失防止タグは、本来、財布や鍵などの大切な持ち物を探すために作られた便利な機器です。
政府広報が説明するように、周囲のスマートフォンなどを利用して位置を確認できる仕組みだからこそ、落とし物を探す場面では大きな力を発揮します。
問題なのは、その便利な仕組みを本人の同意なく人の位置を把握するために悪用することです。
もしスマートフォンへ不明なトラッカーの通知が表示されたら、最初から「ストーカーだ」と決めつける必要はありませんが、「意味の分からない通知だから」と消して終わらせることもしないでください。
通知内容を見る。
自分と一緒に移動していた情報があるのか確認する。
借り物など合理的な理由があるのか考える。
必要な画面を保存する。
現在、自分が安全な場所にいるのかを確認する。
そして危険を感じるなら、タグを探すことより先に安全な公共の場所へ移動する。
この順番には、それぞれ理由があります。
トラッカーを発見した場合も、すぐに壊すことだけを正解にせず、安全な状況であれば機器情報など必要な情報を記録し、メーカーが案内する正式な無効化方法を確認することが、その後の警察への相談も含めた対応につながります。
反対に、身の危険が迫っている状況で、証拠を残すためにその場へ留まる必要はありません。
生命・身体の安全が最優先です。
そして、誰が取り付けたのか心当たりがあったとしても、自分で相手を問い詰めて確認する必要はありません。
2025年12月の法改正によって、紛失防止タグを用いた位置情報の無承諾取得などはストーカー規制法の規制対象へ明確に追加されており、これは「恋人同士のトラブルだから」「元交際相手だから」という理由だけで片付ける問題ではありません。
今すぐ危害を受けるおそれがあるなら110番。
緊急ではないものの、「これがストーカーに当たるのか分からない」「知らないタグが見つかって不安だ」という段階なら、警察相談専用電話#9110や最寄りの警察署へ相談するという選択肢があります。
紛失防止タグを怖がる必要はありません。
必要なのは、便利な技術が悪用される可能性を知り、スマートフォンが「知らないトラッカーが一緒に移動しているかもしれない」と知らせてくれたとき、その警告の意味を理解して、自分の安全を基準に次の行動を選べることです。
GUARD ON│暮らしを守る防犯ガイドは、「知らないタグがあったら怖い」という不安だけを残すのではなく、知らないタグに気付いたその瞬間から、何を確認し、何を残し、どこへ移動し、いつ警察へ相談するのかまで知っておくことが、これからの暮らしに必要な防犯の一つだと考えます。

コメント